気温35度を超す酷暑の名古屋で、世界コスプレサミットが開催された。国内のみならず、海外からもこのイベントに参加しようと多くのコスプレイヤーが集結した。年々、規模が拡大するのは、主催者の巻き込み力があった。

宗春道中には愛知県知事、名古屋市長もコスプレをして参加
宗春道中には愛知県知事、名古屋市長もコスプレをして参加

ポイント:
・コスプレという世界で人気が増すコンテンツをイベント化
・「巻き込み力」で名古屋が世界のコスプレのメッカに成長!

世界コスプレサミット「錦通レッドカーペット」が、2015年8月1日、酷暑の名古屋で開催された。26の国・地域から集まったコスプレイヤーたちが、自慢の衣装を披露。年々規模を増す同イベントは、今年で13回目。真夏の名古屋の風物詩となった。

主催者発表によると総動員数は約248,000人となり過去最高だ。翌日の一般コスプレイヤーによる大須商店街のパレードは約1,000人の参加者を集め、海外からメディア25社の取材が入った。

参加国・地域は、イタリア、ドイツ、フランス、日本、アメリカ、スペイン、中国、ブラジル、タイ、デンマーク、韓国、メキシコ、シンガポール、オーストラリア、フィンランド、マレーシア、オランダ、イギリス、インドネシア、ロシア、香港、台湾、そして2015年からフィリピン、ポルトガル、クウェート、ベトナムの4か国が加わり、合計26か国・地域だ。

各国の予選会を勝ち残ったチャンピオンが一堂に会し、世界選手権を名古屋で行う。

世界コスプレサミット(英語名:World Cosplay Summit、略してWCS)とはコスプレの世界最大のイベント。日本と世界各国のコスプレイヤーとの交流、および海外での日本漫画の人気を認識することを目的とする。コスプレとは、漫画やアニメ、ゲームのキャラクターに扮してその世界観を疑似体験することだ。コスプレ人口は、日本のみならず、世界に広がっている。
開催を重ねるごとに参加国が増え、世界各国からの取材もある。

毎年、各国代表のコスプレイヤーたちの表敬訪問がメディアにリリースされる。愛知県知事や名古屋市長もコスプレ姿で対面するのだ。毎年、どのような出で立ちで登場するかが話題になる。

昨年の2014年、河村たかし名古屋市長は、漫画・アニメ作品「銀魂」の主人公・坂田銀時のコスプレ姿で代表メンバーを迎えた。一方、大村秀章愛知県知事は「名探偵コナン」の江戸川コナンのコスプレ姿で代表メンバーを歓迎。
そのような姿が、ユニークな首長として、海外のメディアにも配信されるのだ。

初めての開催は、2003年で会場は名古屋市中区大須・ローズコートホテル。テレビ愛知が単独で行うイベントで、イタリア、ドイツ、フランスの3か国から5名の海外コスプレイヤーを招聘した。各国代表によるパネルディスカッション、撮影会、交流会を実施した。

やがて2009年には参加が15か国になり、実行委員会方式になった。
それまで主催していたテレビ愛知だけでやっていくのは、規模の面から運営が厳しくなったからだ。
実行委員会には、名古屋市や愛知県が名を連ねた。

なぜ、これほど規模が拡大したのか。

大きく成長した要因は、主催者の「巻き込み力」がある。
コスプレ文化という日本のオリジナルコンテンツを地域資源と組み合わせていったのだ。「愛・地球博」への参加、「大須祭り」のパレード参加、「宗春道中」という戦前からの商店街の祭りとの共催など、地元の祭りというプラットホームと相乗りしたのだ。

また地元企業が名を連ねた実行委員会形式だと参加しやすい土壌を生んでいる。実行委員会は、2013年から2団体増え、9団体となった。愛知県、名古屋市はイベントの価値を高めるためにバックアップ。名古屋観光コンベンションビューローやセントレア(中部国際空港)は、インバウンド誘客促進を図る。

この世界的イベントを活用して、「名古屋」を世界中の方に知ってもらうことが狙いだ、とセントレアの担当者。

2013年から学生による「おもてなし学生実行委員会」が結成され、愛知県内17大学、約60名が参加し、来日した代表コスプレイヤーの身の回りのサポートを期間中対応する。さらに資金集めのための営業活動、地域の飲食店などと提携して、割引等のサービスを実現させた。

役割分担が明確なのも運営面からプラスに働いている。
商店街が、役所や警察への連絡を担当。道路を通行止めにするには、警察との連携が大切だ。
一方、実行委員会では、メディア向けのリリース、サポートスタッフの手配、コンテンツなどを担当している。

コスプレサミットの企画は、実行委員会事務局が中心に進めている。
総会は年2回開かれ、1回目がイベント開催の2か月ぐらい前に、その年の内容を報告。2回目は、イベント終了後数か月してから、来場者数や収支など開催結果の報告を行う。

現在、参加を希望している国は32か国まで増えている。
各国で行われているイベントのコンテストで優勝すれば、本場の日本で世界大会に出場できるというのが魅力となっているようだ。
原則、日本に来るまでの飛行機代は、現地の組織が負担する。

開催規模やクオリティーなどの視察をしたうえで、参加国を増やしているため、急に増やすことは現在の体制では厳しいと主催者。

ところで、今年は愛知県犬山市にある明治村とのコラボ企画が実現した。開催期間中の7月28日に敷地内でコスプレ撮影会を実施。洋館などレトロな建物とは相性が良く、その画像が世界に発信され、明治村のプロモーションにもつながった。

巻き込み力が衰えない。今後の展開も楽しみだ。

宗春道中で練り歩く台湾の代表
宗春道中で練り歩く台湾の代表
最終日は一般も参加する商店街でのコスプレ行列
最終日は一般も参加する商店街でのコスプレ行列
スペインでの予選会の模様
スペインでの予選会の模様

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/